今、世界は混迷の時代にある。東側の崩壊に始まり西側そのものにも亀裂が生じはじめ、新しい枠組みを模索しようとしている。国内においても、先行きの見えない不況の風が吹く中、庶民の生活とかけ離れたところで、政治の枠組みが場渡り的に取り決めら、あてもなくさまよい続けている。これらは、すべて近代合理主義の終焉を意味し、我々の今日の発展を産み出してきた根本原理そのものの否定を余儀なくされていることでもある。戦後、我々はそれまで築き上げてきた文化の否定を自ら行い、先進国的生活様式を見様見真似で振る舞い、それに馴染んだかに思われたが、ここに来て、所詮、芝居に過ぎないことに少しずつ気付き出してきた。

 すまいや生活とは、歴史と気候風土によって刻まれた筋書や舞台背景の上に成り立つもので、それぞれの気候区分にあった動物や植物と同じように環境の中で生きているものでなければならない。そこで、当ゼミでは、島国日本のミクロコスモスである離島の「すまいかた」と「すまいのかたち」の関係を、「ながれるとき」と「めぐるとき」のなかで観ることによって、住環境のあり方や住文化のあり方を少しづつ明らかにしていく。延いては、そこで体験したものが過去の経験と相俟って、今後の自己定位に大きく影響を与えるものとなることを期待する。

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